それでも僕らはみんな、生きている
「先生は、どうしてそんなに詳しいんですか?」
あるデリヘル開業手続きの依頼者、相談時、少々驚かれたようです。実際、相談においては、単に警察への届出に関することだけではなく、他にも様々な質問を受けます。例えば、税金や源泉徴収などについてもそのひとつ。そして、相談者の多くが「他の開業者はどのようにしているんですか?」と尋ねてきます。
僕の場合、実績、職歴が伴って、業界に精通していると自負しています。実際の開業者の話は、実績を重ねなければ知ることができません。また、行政書士開業以前も、風営法に関する業界に携わっていたことが、現在の仕事に大きく寄与しています。今では風営法に関して週刊誌からコメントを求められることもあります。
一方、この業界に精通した行政書士なんて、けっして品がいいものではないことも自負しています。実際、クラブなどの風俗営業の許可は引き受けても、デリヘルについては断っているという同業者もいます。僕自身も、正直言うと、開業当初はこの業務を避けていました。ですが、結局戻ってきてしまったのは、格好良く言えば、表と裏のボーダーライン上で両方の世界を垣間見てきたスタンスによるものかもしれません。
デリヘルについてはお断りという行政書士が思い描いている依頼者の実像と、僕のところに依頼に来られる方の実像では、実は大きな隔たりがあります。そこには、僕にとっては無視できない状況があるがゆえ、掲示板で「最低の行政書士」と罵られながらも、この業務を続けている所以です。
いずれにせよ、みなさんとは「縁」があるか否か。最近では、東京からの相談者も増えています。2010年初春、それでも僕らはみんな、生きているーー。
金はない。当たり前だ。好きなことやってるから。
それでもなんとかなっている。家族もいるさ。ストレスなんかありゃしない。人に使われてもいやしない。
俺が好きな連中もそうだった。むしろ、いつしか仲間入りできたような感覚を嬉しく思おう。
鬱陶しいことは多々あるさ。所詮は狭い業界、狭い土地柄、横からチャチ入れてくるヤツもいる。
されど、今さら自分のスタイル、ポジションを変える気は毛頭ない。変えられもしないだろう。
今さらしょうもない生き方をしたら、昔の女に、そして今の女に笑われるから。